あたくしが初めて店長をやった”オペラ”と言うカラオケパブでのこと。”000ちゃん”と言うあたくと同じ歳か一つ上くらいかな?その人が何の切っ掛けか分からないけれどいつも間にか常連さんになり、週に3,4回来店するようになりました。まぁ、当時はそのような常連さんは他にも居たんですが・・・・・。
大体、カウンターに1人で来ていたけど、たまにアフターでどこかのお店のおねーちゃんと来る時はBOXで両手をソファーに広げて楽しんでおりました。(笑) この”000ちゃん”はいつも「ヘネシー」を入れるんですね。スタッフにも振る舞いビールを飲ますし、周りのお客さんにもザンギやらあたりめなどを振る舞ったりと、それはそれはもの凄い”豪遊振り”。もちろん、当時は「豪遊券」なるものはありませんし、仮にあったとしても一度きりですので毎回は使えません。でも、”000ちゃん”はいつも豪遊。
最初はあたくしたちも新しい常連さんでしかも毎回”ヘネシー”を入れては周りに振る舞うので、来店した時には俄然スタッフは盛り上がりますし大いに接客をします。しかし、これがまずかった・・・・・。ある時、営業前の準備中スタッフに「あのよ、昨日も”000ちゃん”来てかなり大盤振る舞いだったけど、仕事は何をやってんだろう?」「そう言えば何をやってる方なんでしょうかね?」と周りに居並ぶスタッフが「?????」。その内の一人が「きっと、親がお金持ちなんじゃないですか?」「かもな。」と、本当はその可能性は限りなく薄いのを知ってるけど、何となく本当のことを知るのが怖くていつも通りスタンバイに・・・・・。
案の定、少しずつ回数が減って来て、それでも無理してたまに来てはカード払いだったのが現金になり、その現金も悲壮感が伝わるような万札。けれど、あたくしたちはまだ若かったし、逆に今までと違う態度で接するのは申し訳ないと思い、いつも通り大いに接客をしたくらいにしてね。もう、”000ちゃん”は限界だってわかってたんだよね。だから、「飲みな、飲みな」と言われてもいつもは3杯飲む所を2杯にしたり、飲むなら別料金の掛かるドリンクではなく一緒に”ヘネシー”を少しづつ頂いたりと。
”000ちゃん”が頻繁に通い出して二ヶ月もしないで音信不通になりました。最後の方は表情にも余裕がなくなっていましたね。未だに”000ちゃん”が何をしていて、どこから通っていたのか?も知りません。ただ、もの凄く喜んでくれて楽しんでくれていたのは確かでした、ある一時期までは。今さらながらだけど本当に大切にしたかったら、本当に”000ちゃん”のことを思ったら「”000ちゃん”、いつも無理してないで飲み放題コースにしなよ」とか言えれば良かったかなと。。。。。
追記 常連さんに甘えてばかりや、一定のお客さんばかりからの売上はどちらにも良いことはないよね。
当時は、「お金を使ってもらった分、それ以上に楽しんでもらう!!」が基本だったので、それが逆に倍々ゲームのようになった悪い例でした。しかし、そんな例は他にも結構あったんですよね。別にお客さんを食い物にしていたなんて毛頭なかったし、そんなおかしな営業を嫌悪してたしね。その後、少し経ってスタッフがお客さんから聞いた話で「車に乗っていて道路工事の警備員をしてるヘルメットを被った”000ちゃん”に似た人を見たって言ってました」と。幸せな人生をおくってることを願っています。。。。。