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決断のとき。

小嶋 淳司(こじま あつし)は、1963年、28歳の時に
大阪の十三(じゅうそう)に4坪半の1軒の店を構えた。

そして3人の従業員を雇い、通いのベテラン職人とは別に、
小嶋は若い従業員2人と6畳一間に一緒に住み、文字通り
寝食を共に毎日働いた。

店を始めたばかりで大切なことは、とにかく従業員に辞められない
ことだが、しかし、始めたばかりの小さな店では、彼らを引き止める
のに十分な高い給料は払えない。

そして、「自分が若い従業員に与えることが出来るのは”夢”くらい。」
と、考えた小嶋は、店が終ると深夜から明け方まで従業員と飲み明かし、
「大阪一大きな店にしよう」 「将来はこんな商売をしよう」
と彼らと夢を語ったと言う。

小嶋はどんなに寝るのが遅くなっても、朝6時には1人で仕入れに
市場に行くのだが、それでも、寝る時間を2~3時間削ってでも、
「自分達は何を目的としているのか」と、朝まで議論をすることで
従業員の”モチベーション”を高める為に熱く語った。

真摯(しんし)に話せば、きっと分ってくれる、そう信じて。

ところが、ある日、小嶋は思いも寄らない言葉を偶然に聞くことになる。

「うちとこの社長は大ぼら吹きや!」。小嶋がトイレに入った瞬間だった。
従業員たちは気が緩んだのか、トイレの前で小嶋を揶揄(やゆ)し始めた。

「あんな大きなことばかり言って、社長は大嘘つきや」と。

小嶋は信じられなかった。そして”ガクガク”と膝(ひざ)が抜け、
思わず、その場にへたり込んだ。

小嶋は言う、「当時は車を持っていなかったから、朝、市場のある
鶴橋まで電車で行って大阪まで帰ってくるでしょ?その頃には
眠くてもう駅の階段も上がれないんですよ。
手すりに体を預けて、這い上がるように階段を上がって・・・・・」。

そうまでして時間を割き語って来たのに、従業員には自分の”夢”が
まるっきり伝わっていなかったことに、悔しさと切なさが、後から後からわいてきて、
”立ってトイレから出ることが出来なかった!”という。

「腰砕けというのはこういうことかと思いましたわ。まぁ、でも要するに
独りよがりだったんです。”現実”ちゅうことを思い知った」。

よく考えれば大阪一小さな店のくせに、大阪一大きな店にするなどと
確かに説得力のないことを自分は言っていた。それに、そもそも、
”他人に自分と同じ次元で物事を捉えてくださいと求めること自体が
無理なこと。

ここで、小嶋は改めて気付きます。『やっぱり商売は結果主義なのだ。』と。
結果を出せば若くても評価される。

小嶋が改めて気付いたのはこんな経験がある、
高2の時、病に倒れた母に代わり実家のよろず屋を手伝った時のこと、
自分で探した破格に安い靴下が売れ、大いに周囲に認められたからだ。

しかし、結果を出せない限り、努力も何もない。

そして、小嶋はこう思った、
「従業員の目の前にも結果を出して見せない限り、彼らから信頼は
得られない。だったら、1日でも早く本当に大阪一大きい店にしよう。」
と誓った。

そして、それから1年半ほどして近くに120坪の土地が空くと言う
話が舞い込みました。が、しかし、まったく資金はありません。

しかし、小嶋はこう思いました。
「ここであきらめたら、自分はこの先ずっと ”消極的な商売人”になると。
将来、同じようにチャンスや逆に問題が起きた時、困難な方を選んで
決断することを避けるようになる。それではあかん。だったらやろうと決めたんです」

それが、現在関西を中心に「がんこ寿司」を101店舗、年商215億で
「関西の外食の雄」と言われている、
「がんこフードサービス」の小嶋淳司会長です。


本日は業界紙の「日経レストラン」という本から、一部(ほとんど)引用しました。

あたくしは、この項を読んで、胸がつまり、そして自分の甘さも痛感しました。
今、これを読んでいる方で、従業員や部下に”夢”や”思い”を語っても、中々
通じずに、辛い思いをしている方もいらっしゃるのではないのでしょうか?

あたくしも、そうでしたし、今でもそうですが、様々なことを思い出したのです。
ある意味、業績が下がるより「ショック」が大きい時もあり、一瞬、頭の中が
真っ白になる時もあります。。。。。

以前、働いてた社長に「人」で悩んでいた時に言われた言葉です、
「人育ては永遠だぞ、寄せては引いていく波のようだ」と。そして、こうも言われました。
「かとう、部下はトップの器以上には育たない、それは店も会社もそうなんだ。」とも。

”夢”や”思い”を語るのは絶対に大切です。しかし、”有言実行”で『結果を出す』
ことも同じように大切なんですよね。

あたくしは”夢”や”思い”もあるつもりです。『つもり』と書いたのは、言うだけはタダ。
やはり”有言実行”で『結果』を出さないと、どんないい事を言ったとしても、
「うそつき」 「言い訳」になるんです。

要は、「決断する勇気と、結果を出す行動です」。
分った?「はい、分りました」。

小嶋会長は今年74歳になりますが、このように言っておられます、
「経営者として従業員に自分の思いを伝える難しさ、
人の問題は会長になった今でも常について回ります」と。

ハァー、今日は本当に良いお話をありがとうございます。(コラ!)

社長、来週の火曜日以降どうですか?

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