昨日、知り合いの店で飲んでると(又かよ)、後から来た2,3度
その店で会ったことある常連さんが来ました。
何だかひどく落ち込んでいると言うか、かなり”ため息ロカビリー状態”で
(でた、ヤジギャグです。しかも、あえて”オ”を抜きました)
まぁ、生きてりゃ様々なことがあるから、軽く会釈だけして
あたくしは一人”孤独ですベンツ”(オイッ!)で、値段の割にはぜい分
小さめのグラスでビールなんぞを飲んでおりました。(安くするか、大きくしろ)
店の人が「どうしたの?00君、さっきからため息ばかりついて、
何かあったのかい?女に振られたとか?(笑)」
「えっ!?なんでマスター分かるんですか!?」
「えっ!?うそ!マジで!?そりゃ~悪いこと言っちゃったかな?」
("言っちゃったかな"じぁねーよ、この人も、あたくしと同じでその場の”ノリ”で
無神経なことを言うのにはかなり定評のある人物なんです)
「いえ、いいんです。って言うか、聞いてくださいよマスター!」(言うんだ!)
あたくし、その会話をカウンターの2席隣で聞いていて
「どっちなんじゃい!」と、値段の割には小さいグラスに入ったビールを
飲みながら、心の中でツッコンでおりました。
思いっきり聞こえていたんですが、そこはほら聞こえないフリをして
本気で値段の割には小さめのグラスのビールを飲みながら、
あたくしの中で「それはこうだろ」とか、「いや、気持ちは分かるが
それはしょうがないんじゃないの?」と、いつ会話を振られてもいいように
あたくしの中で”シュミレーション”なんかをしていました。
(何事も”備えあれば憂いなし”ですからね)
で、来ました、まさしく期待通りに。
店主が「加藤さんはどう思います?」
普通は「何が?」とか、一応は聞いてないフリをするのですが、
さっきから”バッチリ100%”聞こえていて、しかも”シュミレーション”まで
していたあたくしは、不覚にも”笑顔”で「俺なんかの意見でいいの?」
などと、ホントに”でしゃばり無神経野郎”ですよね、まったく。
何でも、その相談者は(勝手に人生相談になってるし)、
「年末に彼女に振られたんですが、中々どうして忘れられない。」とのこと。
だから、先ほどから用意しておいたあたくしの答えを述べました。
「そんなの当たり前だよ。だって、振られたんだから普通は忘れなれなくて
とーぜんです。」
相手はしばし”ポカーン”としておりました。
多分、ほとんど人から「しっかりしろよ」とか「早く、忘れて新しい女でも
探せよ」とか、まったく無責任なことを言われて来たからなんだと思いますよ。
なのに、あたくしは最初に「当たり前だよ」と、まずはその人の心の傷を
受け入れたんですから。(そうしろと、昔見た恋愛本に書いていたので)
そして、あまりダラダラと話すと化けの皮が剥がれてしまうので、
ここは簡潔に行こうと、先ほどから何度も”シュミレーション”の中で
繰り返し反復練習をしていたことを言いました。
「00君、でもね、不思議と時間が解決するよ。」と。(おおー!)
「時間ですか?」
「そう、時間。だって、昨年の今頃はどうだった?」
「そうですね~、その別れた彼女とは違う彼女と付き合っていました。」
「そう考えたら、どう?その時に、まさかその彼女と別れて別の彼女と
付き合い、そして別れて今に至ると思った?」
「い~え、まったく思いませんでした。」
「じゃあ、その年末に別れた彼女と出会ったときやデートなんかしている
時に、今ここにいてこんな話をしてると思った?」
「まったく思いません。」
「普通、みんなそうだよね。極端なことを言うと、いま00君がトイレに
行っている間に、素敵な女性が現れてお互い恋に落ちる可能性もあるよね。」
「そうだったら、嬉しっすよね。」
「だから、この先どこでどうなるか分からないじゃん。もしかして、
何かのきっかけで、その別れた彼女と復活するかもしれないし。」
(女性側から見たら”99%ありえない”と言われたことあるけど、あたくしは)
「いろんな意味で、待とうよ。しかも、ただ待つのではなく、
そこだけは寝かせておいてさぁ、
違うこと、
例えば仕事とか、他のことで自分を磨いて行きながら待つ。
そうすることで、ほとんどの場合時間が解決してくれるから。」
「固執しすぎですかね・・・・・」
「うん、でも、さっきも言ったけど、そんなの当たり前だから、そこは
気にしなくていいと思う。忘れようとしても、簡単じゃないから。」
「そうですよね・・・・・」
「女は忘れること、いや、忘れた振りをいかに上手くして生きていくか?
で、いい女に、いやもとい、たくましい女になっていくんじゃないかな?
男の方が、どちらかって言うと、
センチメンタル・ジャーニーだろ(って、ここでオヤジギャグかよ)、
でも、実はその感受性って、かなり仕事に役立ってるもんだよね。
特に責任のある仕事につけばつくほどにね。
まぁ、”甘く切なくやるせなく”って感じ。(言ってろよって感じ?)」
さっきから真剣に聞いていた店主が
「いいですね~、一杯僕のおごりでどうですか?」
「なら、大きなグラスでちょうだい。」
「えっ?」
あたくし辛いこと、特に別れは、こう思うようにしているんです、ここ最近は。
「生きているんだから、またいつか会える、
死んでいないだけまだいいよ。死に別れでなければ、また会えるから。」って。。。。。
あたくし、彼に語りながら自分自身に言い聞かせているようでした。
チーフの体をいたわり隣の調剤薬局で若甦(じゃっこう)を買い、
隣なので、お湯割で作ってくれたのを”テイクアウト”しました。
飲み干されて、春の日差しを浴びている若甦(じゃっこう)のグラス。
「女から見ると、別れた男は友達以下だ。」
by 小原 進(さん)