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「ナンバー1とナンバー2の違い」       

古森重隆(富士フイルム社長・CEO)
        
            『致知』2012年2月号
             特集「一途一心」より
        http://www.chichi.co.jp/monthly/201202_pickup.html#pick4

(写真フィルムの事業から)
相当思い切った構造改革をやろうというんですから、
反対もたくさん出てくるし、
また新規分野もどこに投資するかで意見も割れます。

そこで会社の経営資源を全部洗い出し、市場を徹底分析して、
ここぞという分野を定めて投資したんです。

例えば液晶用の材料、インクジェット、化粧品、
医療機器、医薬品といった分野です。

自前でやっていては機を逸するので、積極的にM&Aを
働きかけ、インクジェットプリンターのヘッドで世界一の会社を
買収しました。

医療のITシステムの会社や製薬会社など、合わせて
三十社近くを買い、この十年間で六千億円くらい投資しました。

何が当たるのか、読みに読んで決める。決めたらやる。
経営者として、百の判断をしたら百間違えないつもりで
私はやっています。絶対間違えないぞと。

そのためにはいろいろ情報も必要ですが、
それが全部揃うまで待っていては機を逸してしまう。
不完全な情報から本質を見極めなければならないから確かに難しい。

私も一つ、二つは間違えました。
会社の存続に関わるような問題ではありませんでしたが、
その程度で済んだのは、やはり百決めたら百間違えないという
気魄(きはく)と精魂を込めてやっているからです。

そうやって毎日仕事をしていると、
もう本当にヘトヘトになりますよ。
社長になんかなるもんじゃないなというのが実感ですね(笑)。

しかし社長になったからにはそういう姿勢で臨まなければなりません。
間違えるのが人間だと言っているようでは経営は務まらない。
昔の侍なら間違えたら腹を切らなきゃいけないわけで、
それくらい決死の覚悟でやらなければならないと思います。

だから組織のナンバー1とナンバー2の一番の違いは
責任の重さです。

ナンバー2も相応の責任は負っていますが、
まだ竹刀の勝負だと思います。
間違えてもまだ自分の後には社長がいるという
思いがどこかにある。

しかしナンバー1が間違えたら会社が傾いてしまう。
その差はとてつもなく大きいですよ。

だからナンバー1である経営者は、いつもヒリヒリするような
緊張感、恐怖感の中で真剣勝負をしているわけです。

気魄(きはく)も違いますよね。
使命感も責任感も違う。
まぁそうならざるを得ないわけですが。

やっぱりナンバー1とナンバー2以下の
意識の差は拭いきれません。

ここまで。

あたくしもそう思います。特に創業会社では揺るぎません。
それは別に社長以外会社のことを考えていないとか、真剣に仕事を
していないと言う事ではなく、”役割”が違うということです。

ナンバー1以外の役員なども自分なりの責任感や使命感、
会社への誇り、ちょっと古い言い方かもしれないけど忠誠心は
あると思います、居酒屋で愚痴を言いながらでも。

けれども最終的に”会社全体の責任を取る”という意味では、
圧倒的に違います。

でも、それだからこそ組織が成り立ってもいるのです。
皆がみんなナンバー1なんてありえませんからね。

それぞれの立場や役割で責任と使命を燃やせばいい。

少し比喩的にどうかと思うけど、
その昔、日本最大のヤクザ組織の山口組の3代目若頭(ナンバー2)の
”山本健一(イケイケのヤマケン)”氏がこのように言っておりました。

「ワシの親分は日本一や。そしてワシは日本一の若頭になるんや!」と。
ナンバー2だろうが、ナンバー3だろうが、ナンバー63だろうが、今の立場で
それに見合った役割があり、その力を発揮することで組織が成り立つのです。

と言うことで、
よろしく頼みますよ丸かのナンバー2からナンバー18の方たち。(笑)

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