本日、8月7日は北海道の大部分では”七夕”なんですよね。
小学校の頃位までですね、願いを込めて短冊にしていたり、その周りで花火などを
していなのは・・・・・。
中山靖雄(伊勢神宮の修養団・伊勢道場の先生)さんは、
沖縄の離れ小島へ子供たちを引率してキャンプに出かけていた。
総勢六人だが、そのなかに生まれたときから両手両足が動かない
障害をもった十七歳の洋子ちゃんもいた。
お母さんが眩しく照り返す砂浜で車椅子を押しているときのこと。
「洋子ちゃん、今夜は七夕さまよ。
この天気だと今夜はお星さまがとっても綺麗でしょうね。
短冊にお願いごとを書いて笹に飾ると神様が叶えてくれるそうよ。
みんな書くそうだから、洋子ちゃんも何か書いてあげようか?」
「別に何もないから書かない・・・・・」
「そんなこと言わないで、何でもいいから書いてごらん」
「だって、何もないもん・・・・・」
「みんなドラえもんの竹コプターやイルカに乗って沖縄に来れたらいいなとか、
夢みたいなことを書くのだから、洋子ちゃんも手が動くようになったらいいなとか、
歩けるようになったらいいなとか・・・・たくさんあるでしょ」
「ないものはないもん!」
「洋子! お母さんは、そんな可愛げのない娘に育てた覚えはないわよ」
洋子ちゃんは黙り込んで遠くの海原へ目をやった。
しばらくして、お母さんはハッとした。
くだらないことを言ったものだ・・・・・歩けるようになりたいとか
書いても歩けない、手が動くようになどと願っても無理なこと。
この子を落胆させるだけのことなのに、無理強いしてしまった自分が情けない。
夕方になって、みんなはそれぞれ願い事を短冊に書いて吊るしはじめた。
それを車椅子から見ていた洋子ちゃんが、中山さんにそっと聞いた。
「先生、神様は本当に願い事を叶えてくれるの?」
「そうだよ・・・・・本当に心から願えばね」
「そうなんだ・・・・・。じゃあ、本当に神様が私の願いを叶えてくれるなら、
先生、洋子の短冊にも書いてください!」
「ああ、いいよ。じゃあ何と書こうか?」
「神様、お母さんより一日だけ早く死なせてください・・・・・」
中山さんは、想像もしなかった唐突な言葉に手が止まった。
十七歳でおしめがはずせない子。
お母さんが死んだあとは誰がおしめを替えてくれるのか、
誰がお風呂に入れてくれるのか・・・・・。
切なさで胸が詰まる。
そこに、夕食の支度で席をはずしていたお母さんがやってきた。
「洋子が何か書いてもらったのですか?」
「そこに短冊が吊るしてあります・・・・・」
お母さんは、喜んで短冊を手にとって読む。やがて動きが止まり、
そしてしばらくは輝きはじめた星空を仰いでいた。
お母さんは、無言で自分の短冊に筆を走らせた。
「もし神様にお願いを叶えていただけるのなら、贅沢かもしれませんが、
どうか娘より一日だけ長生きさせてください」
追記 前にも書きました。この文章を読む度に自分自身の荒んだ心が洗われる思いです。
本日、8月7日は暦の上では「立秋」ですね。
どうりで、風が肌寒く感じるようになりました。
まぁ、これから浴衣を来た女性陣多数の出没を期待しつつ夏を終えたいと思います。
明日、17:30~18:30は「トップギア!!生」は”とり天狗”からですよ。