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凄いな~。

先日に続いて「田中角栄」氏の逸話です。

小学校高等科卒の田中角栄が、四十四歳で大蔵大臣になった
昭和三十七年暮れの話である。(官僚たちの夏あたりだ)

東京・新宿界隈で土建業を仕切る大ボスの八十翁(おう)が、
角さんの近況が知りたいといって、神楽坂の料亭「松が枝」に秘書の早坂氏を招いた。

以下は彼(翁)の懐旧談。

「角ちゃんが十八で小さな土建屋を始めて間もなく、ここに俺を呼んだ。
でかい座敷に芸者十人もはべらしてね。飲んだり、食ったり、わいわい
やって、達者な助平話でみんなを笑わせてな。

宴たけなわの頃、オヤジさん、気に入った妓を二、三人連れて、上に行ってくれ。
布団が用意してある、若造がぬけぬけと言い放った。女には飽きたよ、俺が笑ったら、
そうかい、じゃあ俺と寝よう、しれっと切り返してきた。仰天したね。鳥肌が立った。

俺がOKしたら、奴は本当に尻を向けたんだ。仕事が欲しい。
俺の気を引きたい。その一心だろう。

顔は笑っていたけど、内心じゃ、命がけだったに違いない。後で聞いたら、
料理屋のカネも借金で賄ったという話なんだ。
えらくなる奴は、若いうちから違うもんだねえ。」

翌日、この一件を大臣閣下に報告したら、「そうか、あのジイさん、まだ元気なのか。」
遠くを見る目で笑った。 

早坂茂三  「オヤジの知恵」より。

十八歳で土建屋を始めるのも凄いけれど、このような度胸のある行動力は本当に
凄いの一言につきます。あたくし自身含めてあらためて「器」を磨かなければいけないと思います。

訂正、土曜日の”トップギア!!”では最後の肝心な文章が抜けておりましたので、
追加しておきました。