特別攻撃隊の英霊に捧げる
アンドレ・マルロー(フランスの著名な文人)の言葉。
「日本は太平洋戦争に敗れはしたが、そのかわり何
ものにもかえ難いものを得た。
これは、世界のどんな国も真似のできない特別攻撃隊である。
ス夕-リン主義者達にせよ、ナチ党員達にせよ、結局は、
権力を手に入れる為の行動であった。
日本の特別攻撃隊員達はファナチックだったろうか。
断じて違う。
彼等には権勢欲とか名誉欲などは欠片も無かった。
祖国を憂える貴い熱情があるだけだった。
代償を求めない純粋な行為、そこにこそ真の偉大さがあり、
逆上と紙一重のファナチズムとは根本的に異質である。
人間は何時でも、偉大さへの志向を失ってはならないのだ。
戦後にフランスの大臣として、初めて日本を訪れた時、
私はその事を特に陛下に申し上げておいた。
フランスは、デカルトを生んだ合理主義の国である。
フランス人の中には、特別攻撃隊の出撃機数と戦果を比較して、
こんなに少ない撃沈数なのに何故若い
命をと、疑問を抱く者もいる。
そういう人達に、私は何時も言ってやる。
《 母や姉や妻の生命が危険にさらされる時、
自分が殺られると承知で暴漢に立ち向かうのが息子の、弟の、夫の道である。
愛する者が殺められるのを黙って見過ごせるものだろうか?》と。
私は、祖国と家族を想う一念から恐怖も生への執着も全てを乗り越えて、
いさぎよく敵艦に体当たり
をした特攻隊員の精神と行為の中に男の崇高な美学を見るのである。」
二十世紀の思想を代表するフランスの文人アンドレ・マルローは、
こう言うと床に視線を落としたまましばし瞑黙した。
正に百の頌詞に勝る言葉であろう。
私はこれを謹んで特攻隊の英霊に捧げたい。