あたくしが21歳の時に”ロサンジェルス”で出会った素敵な”マチコさん”の
後編です。
酔った“マチコさん”をやっとの思いで家まで送ったあと、
そのお礼なのかどうか”マチコさん“の家にお呼ばれしたところまで書きました。
いよいよ、待ちに待った“マチコさん”の家にいく日が来ました。
”マチコさん”の仕事が終わるまで、ダウンタウンなどでスパニッシュや黒人やらと
緊張した時間を過ごしながら待ち、
いよいよ時間になりました。何という至福の時間でしょう、
明らかに体中の細胞が喜んでいるのが分かりました。
しかも、ただ家に行くだけではなく”宿泊”ですよ、「しゅ・く・は・く!」
一発二日じゃなく、一泊二日デス。
いきなり”マチコさん”があたくしたちに、それもごく自然に”サラッ”と
まるで春のそよ風のような言葉でこう言いました。
「子どもと犬がいるから。」
人間って不思議です、普通にショッキングな事なのにとっさ的に
「ここは自然に振舞うのがベストじゃないか!」と、迷いもないと言うのか、
迷いという思考能力を一瞬消えたと言うか、
あまりにも”マチコさん”が
自然に本当にごく自然に春のそよ風のように言ったので、
あたくしと友人の二人は「はい。」と素直に返事をしておりました。
”マチコさん”の家は日本人も多く住む治安の良い場所です。
犬は飼い主が来るとわかるらしく、家の近くにまでくると既に「ワン、ワン」と
吠えまくっており、何となくその後の展開の予感めいたものを感じたのでございます。
玄関のドアを開けると勢いよく犬が吠えながらやってきて、
その後から”息子”さんが。。。。。
息子さんの名前は忘れてしまいましたが、犬の名前は”まさひろ”と
言う名前です。小さくてよく吠える犬です。(ミニチュアダックスフンド)
子どもは母子家庭なので、家に男の人が来るのが嬉しかったらしく、
すんなりとあたくしと友人の二人になついてくれました。
”まさひろ”は突然の男二人の訪問に興奮していて、しつこいくらいに
まとわり付いて来るので、子どもを利用して遠ざけるようにしておりました。
子どもはテレビゲームにはまっており、あたくしはま~ったく興味もなく
下手なんですが、状況を考えると取り敢えずやるしかありません。
年の頃でいうと、6,7歳位でしたので大人の男性と遊ぶことが
少ない分、ゲームの後はアニメのヒーローごっこなどをせがんでくるので
まぁ、そういうのは嫌いな方ではないし、何より”マチコさん”の喜んでいる
顔も見れるので、”御茶の子さいさい”ってな感じで一緒に遊びまくりました。
しばらく時が過ぎ、近所にある居酒屋へ行こうということになり、
”マチコさん親子”とあたくしと友人の四人で行くことになりました。
(マチコさんの家でも軽めの食事はとったけど)
子どもの”スケートボード”なんかに交代で乗りながら”わきあいあい”の
雰囲気。居酒屋でもかなり盛り上がっていて、まさか、札幌くんだりから
21歳のあたくしたちが、このような場所にいるなんて周りの人も思うはずがなく、
当のあたくし本人も何だか不思議な感覚でした。。。。。
さんざん居酒屋で盛り上がり(もちろん払いはあたくしたちです)、
帰り道で、何となく隠れん坊をしながら帰ることになり(隠れん坊を何となく
するのもどうかと)、なんかその辺から・・・・・。
その前にも居酒屋から出て少し歩きだすと、子どもと友人が”スケートボード”で
遊びながら先を行っていて、と言うことは必然的にあたくしと”マチコさん”が
夜道で二人きりになるという方程式が出来上がり・・・・・
どちらからともなく、手だったか腕を組んで歩いているのであります。。。。。
そんな状況での隠れん坊ですよ・・・・・!!
子どもが鬼の役の時に、二人してどちらからともなく暗がりの方へ、
お酒も手伝ってか、これもまた必然的に”キス”なんぞをしてしまいました。。。。。(ワォ!)
(と言っても、濃厚なのではなく中学生の”初めてのキス”のような感じのです)
と、思いきや突然「ダメー!」と、その場面を子どもに見られてしまいました。(最低です)
”マチコさん”は子どもに「そんなんじゃないのよ。」と、これまたごく普通に
言い終えると、何事もなかったかのようにまたスタスタと歩き出しました。(女は強い!)
家に帰り、また子どもと遊んで、時には英語の発音を教えてもらったりと、
”マチコさん”からもう遅いので「寝なさい」と言われても、よほど楽しいのか、
もしくはお母さんのことが心配なのか?(笑)
一人では寝ようとはしなくて一緒に寝ようと言うのです。
何とか”マチコさん”がようやく寝かせて、そこから大人三人で色々な話しをしました。
まぁ、ほとんどは”マチコさん”の東京時代と”モデル”の話しでしたけど。。。。。
朝、目覚まし代わりに犬の”まさひろ”が吠えながら、寝ているあたくしと
友人の周りを異常なくらい走り回りうるさくて、布団を頭からかぶっても
その布団を引っ張って、しまいにはあたくしのパンツまで脱がそうとする始末です。
それを見ていた子どもはよほどおかしかったのか、
止めるどころか、逆にけしかける始末。(こんちくしょう!)
まぁ、てんやわんやな一発ではなく(ホントに)一泊二日の楽しい時間も過ぎ
”マチコさん”と一緒に家を出て地区専用のバスで”リトル東京”で別れました。
あたくしたちはそれから、”サンタモニカビーチ”の方へ移り、
そこで最後の一週間を過ごしました。
日本へ帰る日は残念ながら、”マチコさん”はシカゴへ一週間くらいモデルの仕事に
行っていて会えませんでした。
「私ねぇ、東京に居た時に”正博”さんと付き合っていたの・・・・・」
お父さんは「大手証券会社」の会長さんだって言ってました、
日本からロスへ来たのが6、7年前、ちょうど子どもが生まれた時期。
愛犬の名前は”まさひろ”。。。。。
何があったかは知りませんし、聞く立場でもない。
ただ、あたくしたちみたいな「どこの馬の骨」だか分からない者達を
親切にしてくれて、家にまで招待して。。。。。
”マチコさん”の家を出るときに、子どもが「今度、いつ来るの?」と。
あれから22年、”マチコさん”は元気にしているのかな?
あどけないあの子どもは28,9歳になっています。(憶えてるかな?)
21歳の若者が友人の「かー、アメリカに行かないか?」
「うん、いいよ。」と、理由も何も聞くことも、何の不安もなく返事をして、
当時乗っていた白の「ハイラックス・サーフ」を140万で売って
「何かが変わるかも?」「何かが見つかるかも?」との思いで行った
アメリカはロサンジェルス。
結局、何が変わったのか?明確に何かが見つかったわけでもなかったけど、
22年経った今でも、あたくしの中ではあの一ヶ月の一つ一つが今に至るまで
とっても貴重な体験になっています。。。。。
でも、帰ってきた時に12380円しか残っていなかったのには驚いた。。。。。
あっ!思い出した子どもの名前は
「ま・さ・よ・し」でした。。。。。
やっぱり名曲だ。