トップギア

「教える方と教わる方の覚悟」

2023年7月、福岡で開催された世界水泳選手権にて、日本アーティスティックスイミング界の絶対的エースと名伯楽が一躍脚光を浴びました。ソロ種目で2個の金メダルを獲得し、2大会連続2冠の偉業を成し遂げた乾友紀子さんと、その専属コーチとして指導に当たった“メダル請負人”の異名を取る井村雅代さん。東京五輪での悔しさを糧に、二人三脚で特訓の日々を積み重ねてきたといいます。いかなる努力によって自己を磨き、世界の頂点を掴んだのでしょうか。お二人の戦いの軌跡から、勝利する者の条件を探ります。

[井村] いま彼女が悔しいと言いましたが、私も東京五輪を振り返ると戦った感じがしていないんですね。なぜかというと、コロナ禍前に行われた二〇一九年の国際大会を最後に、隔離された中で一所懸命に練習を重ねて、格段にレベルを上げてきたにも拘わらず、出てくる点数を見たら二〇一九年と全く一緒なんですよ。つまり、二〇一九年の演技順位をもとに採点されたわけです。これじゃあ勝負にならないわと思いました。私は日本代表のコーチであると同時に、審判員の眼で「これくらいできたら、これくらいの点数になる」と分かっていて指導してきましたからね。だから、私にとっても東京五輪は不完全燃焼だったんですよ。結果的に五輪種目であるデュエットとチームでメダルを逃しました。負けたけど負けた気がしないというか、そもそも戦った感じがしなかった。

そんな中、彼女がソロに挑戦したいと言ってきた時に、選手には消費期限も賞味期限もある。彼女はこれまで五輪に三大会出場し、キャプテンとしてずっと日本代表を引っ張ってきた。この人が現役を引退する時に、「私はやり切った。選手人生に悔いはない」って言わさなきゃ、コーチとして失格だろうと思ったんです。それで私自身、日本代表のコーチに終止符を打ち、彼女のソロコーチとして一緒に戦うことにしました。私は彼女がやめる時まで彼女のコーチを続けよう。選手としての死に水を私が取ってやろうと心の中で思っていました。致知出版社の人間力メルマガ 2023.11.08より。

と言うことで、続きは明日になります!!

追記 明日は「伸びる人の共通点」です。

凄い覚悟ですね~、「選手として死に水を私が取ってやろう」と言うのは並々ならぬ覚悟じゃないとこの言葉は容易に出て来ませんもんね。また、井村コーチはこのようなことも言っておられます。「結果を出せるのは、結果を決めているから」「結果が出てこそ頑張った日々が輝く」と。

PAGE TOP